イムラアートギャラリー東京では、桃田有加里個展「TIME SLICE」を開催いたします。
桃田の作品は、キャンバスに置かれたビビッドな色彩が印象的です。自然界には存在しない色彩を重ねることで、現在の時間軸から切り取られた空間をつくりだします。そこでは時間が止まり、同時に"記憶"もとどまります。
どこかはわからないけれど、いつか見たことがあるような、そんな風景を思い出させるのは、桃田が自身の"記憶"を整理するように、そして記録するために描いているからかもしれません。
イムラアートギャラリー東京では初めてとなる個展をぜひご高覧ください。
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今日にいたるまで、さまざまな人の手によって表現された絵画の中に、私は作家の生涯や心の密度、その絵を描くのに費やした時間が凝縮して投影されているように感じます。近年、人間という一つのゆっくりと進化し成長する生命が、スピードや効率を優先する社会にいる中で、私は絵画の中にある静止した時間に魅了されています。また、生命を有しない人工的な物質にも共通した時間の静止を感じ、その中に、人間の"記憶"という時とともに混濁するものを保存する力があるように思われ、私は非常に興味をそそられています。
自身の表現は記憶を整理することでもありますが、作品の中に"時間の静止"を織り込みたいと思ったとき、自然界には存在しないビビットな色彩や、一つの画面に異なる技法を用いることでコラージュ的な空間の構築を目指すようになりました。主観ですが人工物は時間が止まっているような印象を受けるため、私はそういったところに現実とのつながりを絶つ瞬間を感じ、キャンバスに無時間的な空間を記録するために制作を続けています。
桃田有加里
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