この度イムラアートギャラリーでは西 憲治 展を開催いたします。
昨年のシェル美術賞で入選を果たした西憲治は、日常的なモチーフを描きながら、絵画という表現形態の可能性に挑戦しています。眼に映る光景から生まれる感情とその対象との心理的な距離感を素直に表現する作品が特徴です。これまでの人生で過ごした如何なる場所にも特別な帰属意識を持たない彼自身の、淡白冷静な、しかし鋭い観察力と表現力が感じられます。
感性と技術と表現手段が多様かつ複雑に作用し対立しあう現代美術において、西の作品には、あえて同時代性や革新的な要素を問うことはさほど重要ではないかもしれません。一個人として感じるインスピレーションとそれを表現する絵画という手段がどのように作用しあうのか、丁寧な描き方と作品の風情について根本的な感覚に立ち返ることを思い出させる作品群です。今後の活躍が非常に大いに期待される作家であり、是非とも皆様にご高覧頂きたく、謹んでご案内申し上げる次第です。